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次回の放送

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2024年5月19日放送 加藤英明さん(第2382回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
静岡大学 教育学部 准教授 加藤英明

講師紹介

1979年静岡県生まれ。農学博士。
世界中のジャングルや砂漠を駆けめぐる生物ハンター。
カメやトカゲの保全生態学的研究をしながら、
学校や地域社会で環境教育活動を行っている。

番組で紹介した本

「ゆるゆる両生類・爬虫類図鑑」監修:加藤英明(Gakken)

ポイント第2382回「進化は生きる知恵」

両生類と爬虫類は、形も動きも面白く、何より興味深いのが「進化の歴史を垣間見られる」グループだということです。脊椎動物が水中から陸上に上がって生活するまでの歴史がギュッと詰まっているのです。3億年前からずっと同じ形のものもいれば、進化を遂げて形が変わったものもいます。なぜこういう形になったのか、それを考えるだけでも本当に面白いですよ。魅力いっぱいの爬虫類・両生類の進化を見ていきましょう。


【子育ての進化】

「ワニ」は凶暴なイメージがあるかもしれませんが、意外と子煩悩です。親は卵を傍でしっかり守り、ふ化する直前に中で赤ちゃんがピピッと泣くと穴を掘って卵を出し、うまくふ化できない場合、口を器用に使って卵を割ってあげます。社会性があり、仲間意識も強く、集団で暮らしています。赤ちゃんが助けを求めた場合は親だけでなく、周辺の兄弟や親戚たちもパッと集まってきて助けます。

「イチゴヤドクガエル」は、体長2センチほどの小さなカエルで、真っ赤な体は「警告色」とも呼ばれ、毒があることを示しています。水中に産卵すると魚たちに食べられてしまうため湿度の高い「落ち葉だまり」の中に隠すように産みます。卵の世話をして守るのはオス。ふ化すると、おたまじゃくしが自らお母さんの背中に乗って吸いつき水辺に運んでもらいます。水辺と言ってもかなり高い木の上、着生植物の葉の付け根の水たまりにメスが一匹ずつ運ぶのです。産む卵は少なくて、5個くらい。その少ない卵、そしておたまじゃくしを大事に守って育てていきます。


【逃げ方の進化】

「グリーンバシリスク」は、全長80センチくらいの、広い意味ではイグアナの仲間です。二本足で立ちあがり、なんと1秒間に20歩という回転数で川の上を走って逃げます。ワニや大型の魚から逃げるためには、できるだけ体を水中に沈めたくない、だったら水面を走って渡ろうというように進化したのです。

「トビトカゲ」も面白い逃げ方をします。体長10センチほどで、体に羽のようなひだが付いていますが、これは肋骨を皮膚が覆った皮膜です。普段は皮膜を閉じ、細長い木の枝のような敵に見つかりにくい姿をしていますが、天敵のヘビに見つかり追い詰められたら広げて滑空し、10メートル以上移動して逃げます。そこで、それを狙う敵も進化していくわけです。

ヘビも飛んでしまえば追いつけますよね。「トビヘビ」というヘビがいます。羽のような皮膜はないですが、肋骨をできる限り広げ、平べったい体にして、しかもS字状に体を曲げて空気抵抗を大きくして滑空します。こちらは逃げる獲物を追うための進化。どちらも命をつないでいくために進化したわけです。


私たちは両生類、爬虫類を色や形だけで判断しがちですが、実は長い歴史があり、その進化を見守っていく必要があります。私たちの時代で、彼らの歴史を終わらせてしまいたくはないですよね。そのためには、まずはよく知る、そして生き物たちの邪魔をしないことが大切です。

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